ドイツの力
最近の自動車業界の話題の中心は「米ビッグスリーの行方」とこれに付随したヨーロッパの自動車各社の統廃合、それと「ホンダインサイト、トヨタプリウス」等ハイブリッドカーの拡大だ。
●力任せのドイツ御三家?
こうした企業の生死が問われている中、ドイツ御三家「MERCEDES BENZ、AUDI、BMW、」からはハイパフォーマンスカーのニュースリリースが続いている。
・MERCEDES BENZ SLRマクラーレン・ロードスター722S(5.5ℓ、650ps、7,300万円!)
・MERCEDES BENZ SL63AMG(6.2ℓ、525ps、1,910万円)
・AUDI RS6(5ℓターボ、580ps、1,645万円)
・AUDI R8V10(6.2ℓ、457ps、1,044万円)
・BMW Z4(3ℓツインターボ、306ps、695万円)
・BMW750i(4.4ℓターボ、407ps、1,200万円)
「なんて脳天気なんだ!」という印象だが、一方でVWからは静かに重要な情報がリリースされている。
2008年10月本国で発表された六代目のゴルフが日本でも4月から発売開始。
先代から引継ぎのTSIハイライン(1.4ℓターボチャージャー+スーパーチャージャーのツインチャージャー方式)、コンフォートライン(ターボ゙チャージャーのみのシングルチャージャー方式)の2車種。
この新時代をリードするエンジンと新車体で静粛性、乗り心地、ハンドリングに更に磨きをかけ、同時に低燃費も実現。かつてベストセラーカーのライバルと言われたトヨタカローラを遥か彼方に置き去りに。
片や世界の自動車フリークが注目する量産カーのトップに、片や中高年向けの乗れればよいだけ?の車に。
今月VWによるPORSCHE統合計画が伝えられる。PORSCHE はVWの株式51%を保有する親会社である。売上はVWの1/15だが。
そもそもこの2社のルーツは同じ。VW(Volks Wagen:国民車)のスタートは第二次大戦中、ヒトラーの国民車構想によって始まり、その設計者がダイムラーの技術者でもあったDr.フェルディナンド・ポルシェであり、完成した車がVWビートル(フォルクスワーゲン・タイプ1)なのだ。
近年は企業防衛もありPORSCHEがVWの株式を買い増し親会社となっていた。VWの元会長、監査役であるDr.フェルディナンド・ピエヒはDr.フェルディナンド・ポルシェの娘婿である。VW経営陣とPORSHE経営陣の確執、ポルシェ家とピエヒ家の確執もあるらしいが、2社の技術連携は続き、現行のPORSCHEカイエンとVWトゥアレグは兄弟車で、古くはPORSCHE914の共同開発生産もあった。
昨年来の世界不況は高額車中心のPORSCHEの販売を直撃し、負債の増加、資金繰りの悪化等で今度はVWによるPORSCHE統合が検討されている。
これによりVWグループは現行の9ブランド①VW(独)、②VW CV(Commercial Vehicle:独)、③AUDI(独)、④SEAT(セアト:スペイン)、⑤SKODA(シュコダ:チェコ)、⑥BENTLEY(英)、⑦BUGATTI(仏)、⑧LAMBORGHINI(伊)、⑨SCANIA(スウェーデン)に⑩PORSCHE(独)
を加え10ブランド!を擁するメーカーとなり、トヨタ、GM、フォード、ルノー/日産、に次ぐ世界第五位の自動車メーカーとなる。
かつて世界に多数のブランドを誇った米GMはじめビッグスリーは次々に海外ブランドを売却し、瀕死の状態であるのとは対照的だ。GM系サーブは破綻、オペルも伊FIATに買収されそうだが、VWはこの時代に唯一世界で販売を伸ばした自動車会社だ。
最近の国内での話題はハイブリッドで、前月の国内新車販売で「ホンダインサイト」はノーマル車を押し退けて販売トップとなったらしい。今後、プリウスで販売のトヨタがどこまで強みを発揮するか興味深い。
一方、3月のジュネーブショーでVWは「ポロ」の新型と共に超低燃費車の「ポロ ブルーモーション」も発表した。1.2ℓターボディーゼルで、何と燃費は30.3km/ℓである。従来型のディーゼルエンジンだが、ハイブリッドの新型トヨタプリウスの38.0km/ℓには及ばないもののホンダインサイトの30.0km/ℓを若干上回る値だ!
ヨーロッパ勢はハイブリッドの開発に遅れたという見方もあるが、そもそも開発の方向性の違いだ。ディーゼル車は日本では某知事さんの戦略が効きすぎて悪者イメージだが、もはや昔の大型トラックのようなPM(黒すす)を撒き散らすようなものではなく、むしろCO2の排出量はガソリン車より少ない。ヨーロッパでは半分はディーゼル車である。
ハイブリッドは従来のガソリンエンジン+電気モーター、バッテリーが加わるため部品点数は多く重量も増え、コストが掛かり生産によるCO2も増える。
このためヨーロッパ勢はディーゼルをベースに技術の熟成を続けてきたのである。
しかし、ターボディーゼルでここまで低燃費を実現できるとは正直驚く。
トータルCO2排出量と製造コストの低減を考えると、これは日本の各メーカーにとって大きなインパクトだ。今後は「ホンダインサイト対トヨタプリウス」より「ハイブリッド対ターボディーゼル」の戦いが興味深い。
●ドイツの力
ドイツの強さの源泉は「生真面目さ」と「ロジカルな思考様式」にあると思う。
ハイパフォーマンスカーの開発は賛否が分かれるが、これはドイツ人技術者の技術開発を突き詰めたい生真面目さだろう。ただ、突っ走り過ぎないようにして欲しいが。
ゴルフⅥを始め近年のドイツ車の高いクオリティは世界的なレベル向上を促し、イタリア・フランスらのラテン系も驚異的に品質向上した。
PORSCHEとVWの統合は両社・両家の思惑もあり予断を許さないが、技術を守り続けようとするドイツ職人気質が基本にあろう。
米ビッグスリーは技術よりマーケティング、金融にシフトし、時代を見ない傲慢な経営に至って破綻寸前だ。かつて世界中で買い漁ったブランドを機能させられず手放し、ドイツ人が再生させている現実は皮肉だ。
日本はハイブリッドで先行するが、「ポロ ブルーモーション」はドイツ人の従来技術を突き詰めていこうとする生真面目さと、CO2を始めトータル環境問題を考えようとするロジカル思考の象徴だ。今期の好業績を支える中国市場での販売も、長期的視点で中国市場を開拓し、実らせたロジカルな思考の賜物だろう。ゲルマンの力に日本もうかうかしてはいられない。
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コメント
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こちらより、相互リンクしていただけると嬉しいです。
まだまだ、未熟なサイトですが、少しずつコンテンツを充実させていきたいと思ってます。
突然、失礼しました。
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投稿: hikaku | 2009年5月23日 (土) 11時40分