日本酒の知識と誤解(7)
●ライバルの台頭
日本酒販売戦略で伝統としての日本酒を全面に押し出す方法もあるが、一般的には「日本酒=古いおやじ世代の酒」のイメージからまだ脱却できていない。
古くは、戦後の混乱期に悪質な酒が造られたり、また平成4年の級別廃止を始め酒税法の改定が成されたりで一般の人にはあまり理解されていない。
こうした中、ビール、ウィスキーの台頭、ワインブーム、焼酎ブームと続く一方、日本酒はどんどん取り残されていったのである。
他のアルコール類はウィスキーのサントリー、ビールのキリン、アサヒ等大手酒造メーカーの他、海外からワインを輸入する商社等の大企業の攻勢が続き、規模の小さな日本酒蔵元には太刀打ちできない相手であった。
但し、焼酎は蔵元の規模が小さいことは日本酒と同じながら2003年頃からブームとなり、ついに日本酒を抜き去った。これはやはり元々焼酎が低価格だということもあるが、酒税法の改定も睨みながら一部大手・準大手酒造メーカーが努力した結果でもあろう。
それに蒸留酒である焼酎が、日本酒(生)のような流通時の難しい温度管理を必要としないというのも一因だろう。また、焼酎はお湯、水等で割って飲むことが多いため、一部の愛飲家を除き一般の消費者には明確な味の違いが判り難く、チェーンの居酒屋等で販売するのに好都合というのもありそうだ。
これに対し日本酒業界は新たな方向性を示せなかった。経営規模の問題はあるにしても歴史が足枷となった古い体質のままではなかったのか。
●ビール業界
ビール業界はビールじゃない偽者?が大流行。「発泡酒」で足りなくて「第3のビール」が現れ、最近はリキュール類の「第4?」も出ている。第4の原料は「えんどう豆」「大豆」「とうもろこし」等で、麦芽で作るビールどころか、もう何でもありの状態。これも酒税法とのいたちごっこの結果だが、ここまで来るともう酒税法、国税庁の罪と言うべきだろうか? 丁度日本酒に於ける「純米~アル添~合成酒」みたいな関係だ。
今やこれらの販売比率は「ビール50%、発泡酒20%、第3・第4が30%」で半分が“偽者”という実態。アルコール度数、原料の違いぐらいへっちゃら、値段が安ければ何でもいいという消費者側の割り切りも凄い。というか違いを知らない?
(ところで “キリン・フリー”ってルートビア? ゼロカロリーとかプリン体ゼロ・・・とかもあるがこれって病人用? 病人は酒飲んじゃいけないと思うが。)
ビール業界の苦悩も大きいが、消費者に違いを理解されていない実態は日本酒と同じだ。
更に悪いのは「低価格化」の他、需要が「夏」中心というビール特有の問題もある。ビールは暑い季節にグ~~っと最初の一杯が決め手だが、この一瞬のため日本酒ほど味のこだわりが出にくい。「とりあえずビール」で、次は焼酎、日本酒みたいな?
ビール業界全体は女性客の掘り起こしが進んでいるようだが、最近の「草食系男子」は苦いビールは嫌いらしい。むしろ甘めの日本酒の方が好きという意見もあり、ビールは前途多難?一方、日本酒はけっこう期待できるかも。
個人的な感覚ではサントリーの「プレミアムモルツ」の後に発泡、第3を飲むと水みたい、どうせ飲むなら旨いのがいい、量を減らしても。と思うのはおやじの発想だろうか?
一度ベルギービールもお試しになることをお薦めしたい。
●一合の嘘
居酒屋とか日本酒を飲ませる店に行くと、いろんな入れ物を使っている。枡もあればグラスもあり、徳利もある。
日本酒を注文するとお店のおねえさんが“一合ですか二合ですか?”と聞かれる。
そこで皆さんに質問。一合は一升の1/10、180mℓだというのは知っていると思うが、その中身が本当に一合か知っていますか?
実はかなりいいかげんである。そうとう有名な店、良心的そうな店でも一合以下のケースが結構多い。特にメニューに“日本酒”だけの表示で、細身の徳利で出すところ。
料理にはうるさい店でも、悪意ではなく徳利等の器には目が届かず量が少ないケースもある。
悪い店は一合徳利でも中身を少なくして出す。中身がちゃんと入っているか確認する客はめったにいないからだ。
枡の場合も同様。地酒のグラス売りなんかでは、塗りの枡に小振りのグラスを入れ目一杯グラスに注ぎ外にこぼすというのが多いが、これもちょっと曲者。
実は枡の大きさはかなりいいかげんでばらばらだ。これは昔からで、江戸時代にはこの枡の大きさを細工してぼろ儲けなんて話は事欠かない。
ではこの対策は?・・・一升瓶のボトルキープだ。但し、旨い日本酒を置いている信頼のお
ける店で、且つ、長い間置きっぱなしはだめ、酒が劣化します。
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