待望の「Diana Krall」の「Quiet Night」をタワレコで購入。珍しく、輸入盤、通常盤ではなくSHM-CD+DVDの2枚組国内盤、ボーナストラック付。
DVD付は山中千尋の「Bravogue」のN.Yの録音シーンDVDがなかなか良かったので、今回の「Diana Krall」でも選択。
全13曲で、内4曲はBossa Nova曲。「The Boy From Ipanema」「Este Seu Olhar」「So Nice(Summer Samba)」「Quiet Night(Corcovado)」
プロデュースはTommy LiPuma、Al Schmittの名コンビ、アレンジはJobimの「Wave」を始め多くのBossa Nova曲のオーケストラで定評のあるClaus Ogerman。DVD中でDiana Krall自身がOgermanには何も注文する必要がなかったと言っている。
全体がスローバラード曲とBossa Nova曲だが、Tommy LiPumaがDianaの声はBossa Novaに大変向いていると言っている。確かに、かなりハスキーな声とディーテイルの発声に情感が溢れているあたりはBossa Nova向きだ。
Diana Krallはジャズ・シーンに登場した時から大物の片鱗を窺わせたが、その歌はTommy LiPumaも言っているように年々熟成し、最近は歴代の大物ジャズ歌手並の姐御?の貫禄も付いてきた。
ただ、今回のアルバムは素晴らしいものの、長年のBossa Novaファンから見ると、逆にこの熟成したJAZZボーカル手法に若干引っ掛かるところもある。
Bossa Novaは元々Brasilの大衆音楽Sambaを、Antonio Carlos Jobim(アントニオ・カルロス・ジョビン)、Joao Gilberto(ジョアン・ジルベルト)、Vinicius de Moraes(ビニシウス・ジ・モライス)らが洗練された音楽として作り出したものだ。リズミックでエネルギッシュなSambaから抑制された、ささやくような唱法、シンプルな音階で歌うものへ変身した時からSambaともJazzとも異なる方向に踏み出したのだ。
Antonio Carlos Jobim、Astorud Gilberto、Joao Gilbertoらの演奏、歌に比較して、まだDiana Krallの歌はJazz臭さが強すぎる、それとピアノ演奏のキータッチが多過ぎるところに若干くどさを感じる。「One Note Samba」のような単純な音階だが充分歌っているところがBossa Novaの原点だ。
比較のため同じタイプのピアニスト、ボーカリストの「Eliane Elias」も改めて聴いてみた。ElianeはBill Evans命だから、演奏・唱法ともクールだ。
Diana の声はかなりハスキーでこれはこれでBossa Nova向きだが、 Elianeの声質はもっとソフトで優しい、ボーカルのテクニックは到底Dianaには敵わないが、ピアノのテクニックは負けてはいないかもしれない。
ただ、やはり最も異なるのはElianeはBrasil人で、歌・演奏ともBossa Novaのシンプルな音出しが自然に身に付いているように思える。
Diana は当代Jazz界のトップ女性ボーカリストで、高いテクニック、ディーテイルまでの歌いまわし、ねっとり感等Jazz心が絶妙。そこが逆にBossa Novaを歌う時の邪魔になるかもしれない。
とは言っても、Diana Krallはやはり最もBossa Novaの真髄に近いボーカリストには間違い無く、この人がBossa Novaのシンプルな音間の無音の余韻を表現できるようになると、最強のBossa Novaシンガーにもなるだろう。
PS:今回のアルバムはSHM-CD+DVDの2枚組だが、このDVDが予想外にすごい。リオ・デ・ジャネイロでの満席の大ホールのライブ映像が入っている。ここでDianaが「The Boy From Ipanema」を歌うと満員の客席もささやくように歌いだすのである。
Diana がBrasilのお客はBossa Novaを愛している、そしてBassのジョン・クレイトンは涙を流していたと言っていたが、私自身もあまりの感激であやうく落涙しそう。 http://ja-jp.facebook.com/video/video.php?v=1123582484929
それと、霞む山並みを向こうに、リオの海岸の波打際で戯れる人々、そして手前に佇むDianaの後ろ姿がまるで映画のワン・シーンのようだ。
5月27日にこのDVDが発売されるらしい。こりゃきっと凄いよ!!
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